2007年07月26日 23:59
厚生労働省の社会保障審議会福祉部会は26日、急速な高齢化などに伴い、2014年時点で必要な介護職員の数は、04年より40万~60万人多い140万~160万人との見通しを発表した。一方で、介護・福祉サービス分野では低賃金や超過勤務など労働環境が厳しく離職する人が多いため「質の高い人材を安定的に確保することが喫緊の課題」と指摘。適切な介護報酬の設定による給与水準の改善、労働時間の短縮、高齢者の活用などを提言している。
この日の同部会で、93年につくった社会福祉分野の人材確保のための基本指針の見直し案をまとめた。厚労省は審議会からの答申を受け、8月中旬にも新指針をつくる方針だ。
見直し案によると、75歳以上の高齢者は04年の約1110万人から14年には約1530万人に、介護保険制度の要介護、要支援認定者も約410万人から約640万人に増えると見込まれる。これに対応するには、介護職員も大幅増が必要とした。
だが、福祉・介護サービス従事者の給与水準は全労働者平均より低いなど労働環境は厳しい。平均年収(05年調査)は全労働者453万円に対し、福祉施設介護員は男性315万円、女性281万円、ホームヘルパー女性は262万円。介護職員に訪問介護員を加えた離職率は20.2%(04年10月から1年間)で、全労働者の17.5%(05年1年間)を上回るなど、働き続けるのが難しい状況だ。
見直し案は人材確保策として、(1)給与水準の実態を踏まえた適切な介護報酬設定など労働環境整備の推進(2)キャリアアップの仕組みの構築(3)高齢者など多様な人材の参画促進――などを挙げている。