2007年01月03日 09:10
[東京 1日 ロイター] 日本経団連は1日、今後10年間に目指すべき日本の将来像を描いた「希望の国、日本【御手洗ビジョン】」を発表し、消費税は2011年度までに、2%程度引き上げるべきとの考えを表明した。また、国の債務残高の対国内総生産【GDP】比を安定させるため、2012年度以降から2015年までの間に、消費税をさらに3%程度引き上げるか、社会保障以外の歳出を毎年4.6%程度削減することが必要、との見解を示した。
御手洗ビジョンは、昨年5月に就任した御手洗冨士夫会長【キヤノン会長】が実現に向けて取り組む政策提言の基本方針。経団連は昨年4月の提言で、2010年代の初頭をめどに消費税を10%に引き上げていくべきとの考えを示していたが、政府の「骨太方針2006」に盛り込まれた歳出削減の方針と景気回復による税収増を織り込んで、新ビジョンで引き上げ幅を縮小。安倍内閣の成長路線に沿った内容となった。
新ビジョンでは、法人税の実効税率を30%程度の水準まで引き下げることや、2015年度をめどに道州制を導入することを盛り込んだ。これらを含め、イノベーションによる生産性の向上やFTA・EPAの締結を促進するなど19項目の諸施策を講じることにより、2006年から2015年までの10年間に、実質GDPは年平均2.2%、名目GDPは同3.3%の成長が可能になると試算した。
消費税の項目では、2011年度に基礎的財政収支【プライマリーバランス】を黒字化する政府の目標について、名目成長率3%、長期金利4%の前提で試算。この結果、11.4兆円の歳出削減と、2009年度に基礎年金国庫負担割合を2分の1に引き上げることを織り込めば、消費税を2%程度引き上げることで、2011年度の国のプライマリーバランスが0.6%程度の黒字、地方は0.5%程度の黒字化が可能になるとしている。
2012年度以降については、社会保障給付の伸びを「高齢化で修正した成長率」以下にとどめることを前提にすると、消費税をさらに3%程度引き上げるか、社会保障以外の歳出を毎年4.6%程度削減するか、いずれかを行うことによって、2015年度の国のプライマリーバランスは1.8%程度の黒字、地方も0.3%程度の黒字になると試算した。国・地方それぞれの債務残高の対GDP比を安定的に低下させることが可能になるとしている。